金鉱株の中には、金の採掘を直接行わない「ストリーミング&ロイヤリティ」と呼ばれる銘柄があります。主な企業は以下の5社です。
★金の採掘を行わない金鉱株
- フランコネバダ(FNV)
- ウィートン(WPM)
- ロイヤルゴールド(RGLD)
- オシスコゴールド(OR)
- サンドストーム(SAND)
特に企業規模が大きいのは、FNV、WPM、RGLDの3社
これらの企業は、一般的な金鉱株とはやや特徴が異なるので、今回はそれをまとめてみようってお話です。
ストリーミング&ロイヤリティの主な業態は自社で鉱山を有さない代わりに、他社の鉱山開発に出資し、現金や金などの採掘物を受け取ります。
「ストリーミング」は採掘費用の支払いと引き換えに、鉱山で生産された貴金属のすべて、または一部を一定期間受け取れる権利です。例えば、同社はカナダのマウント・ミリガン鉱山の開発の前金として約8億ドル、採掘中の費用として金1オンスあたり435ドル、銅1トンあたりスポット価格の15%を支払うことで、同鉱山の生産物である金の35%、銅の18.75%を取得しました。
「ロイヤリティ」は出資した資源採掘事業者の収益の一部を受け取れる権利のことです。
ストリーミングは金属の市場価格を下回る金額を払い続けるのが一般的だそうです。一方、ロイヤリティはその必要はないそうです。
「ストリーミング&ロイヤリティ」銘柄の特徴
高収益で経営が安定しやすい
「ストリーミング&ロイヤリティ」銘柄は金鉱山を有しません。そのため、会社自体は極めて少人数で経営されているのが一般的です。
例えばロイヤルゴールドの従業員はわずか27人。数千人かそれ以上の単位で人員を抱えている一般的な企業に比べると、きわめてコンパクトです。
金鉱山も人員も有さないため、コストが非常に低く、営業利益率が高いのが特徴です。例えば、フランコネバダの営業利益率(Operating Margin)は50%超、ロイヤルゴールドが39%などとなっています。一般的な金鉱株である米ニューモントが15.9%、加バリックゴールドが26.8%などと比べると、ストリーミング企業は大手の金鉱株でもなかなか実現できない数字を実現しています。
企業にもよりますが、全体的に負債が少なく経営が安定している傾向にあります。一般的に倒産リスクは低めです。
多様な鉱山に関与するため、リスク分散度合いが高い
一般的な金鉱株は簡単に数えられるだけの鉱山の採掘・保有を行っています。そのため、災害や金の品位・採掘量の変化で大きな業績の変動が生じます。
一方、ストリーミング&ロイヤリティ銘柄は多数の鉱山の運営に広く薄く参加しています。例えば、ロイヤルゴールドは42の鉱山の生産に関与し、加えてそれ以上の未開発鉱山の権利も有しています。ポートフォリオの分散度合いが高く、1鉱山の売り上げに依存しないのです。
株価のパフォーマンスが良い
Seeking Alphaの記事によると、ストリーミング&ロイヤリティ銘柄は他の金鉱株よりも株価のパフォーマンスが良かったと述べられています。以下はストリーミング&ロイヤリティ銘柄(R&S)とGDX、GDXJなどのパフォーマンスを比較したものです。
出典:https://seekingalpha.com/article/4351211-precious-metals-royalty-and-streaming-companies-may-report
これは想像にたやすいですね。コストが低いため、金の価格上昇で容易に企業の利益も増えます。加えて破綻リスクもほとんどない銘柄ですから、だれでも選びたくなると思うんです。
筆者もフランコネバダかロイヤルゴールドをポートフォリオに組み込みたいですもん。破綻リスクの低い金鉱株なんて、長期保有していたらまあ儲かりますよねって。
「ストリーミング&ロイヤリティ」銘柄投資上の注意点
★投資上の留意点
- 株価が割高に推移しやすい
- 他の金鉱株同様に値動きが大きい
- 破綻リスクは低いが、負債の動向には注意
こういった業態なので、全体的に割高に推移しやすい点があげられます。2020年3月のコロナショックのようなタイミングで買えたらいいのですが、普段はなかなか安く仕込むのが難しいかもしれません。
また、他の金鉱株同様に値動きは大きい点にも注意が必要です。
最後に負債の動向には注意が必要です。ストリーミング企業は他の金鉱株に出資するために、負債を活用します。しかし、出資した金鉱山で思うように金が採掘されなかった場合や、なんらかの影響で生産が停止した場合には、ストリーミング企業も収益を受け取れなくなります。
おすすめ銘柄
★ストリーミング&ロイヤリティ銘柄のおすすめ
- フランコネバダ(FNV)
- ロイヤルゴールド(RGLD)
おすすめはやはりこの2社になるかと思います。どちらも利益率が高く、負債も少ない(下記記事参照)のが魅力です。
ただ「割安か?割高か?」と言われたらおそらく「割高」です。業態は魅力的ですが、もっと値幅の取れるいい銘柄があるのでは?という気もしてしまいます。
やはり、仕込むのはすべてが売られるようなタイミングですね。そうすれば、「高配当」の株式として長くポートフォリオで利益を生んでくれると思います。