2020年3月のコロナショック時の金鉱株のパフォーマンスを調べてみました。
金鉱株はボラティリティの大きさがメリットでもあり、デメリットでもあります。今回は具体的な相場を例に、金鉱株の特徴を解釈してみようと思ったわけです。
というわけで、コロナショック時の金鉱株インデックス(Arca Gold Miners Index)、米国株式(SPY)、ゴールド(GLD)の下落率を比較したものが以下のグラフです。
コロナショック時の下落率は、米国株も金鉱株もほとんど同じでだいたい35%ほどです。日本人は円とドルの影響で、もう少し大きな損失を受けたことになります。
コロナショックでの株価の下落は2月20日から3月20日までの約1か月間ほどでした。この間のゴールドの下落率は10%ちょっとだったものの、ギアリング効果の影響で金鉱株の下落率が大きくなりました。
この期間で最大ドローダウンを記録した日は以下の通りで、ゴールドは米国株よりも先に下げ止まっています。一方、金鉱株は3月13日に一度底値を付けた後、3月20日に2回目の底値をつけました。
★最大ドローダウンを記録した日
- 金鉱株:2020年3月20日
- ゴールド:2020年3月18日
- 米国株:2020年3月20日
当時のニュースを確認すると、日本時間の3月18日(現地時間17日)にトランプ政権が大型の景気刺激策を行うとの談話を発表しています。
トランプ米政権は17日、新型コロナウイルスによる経済不安を抑えるため、総額1兆ドル(約107兆円)の景気刺激策の検討に入った。ムニューシン財務長官は「極めて大きな経済対策となる。米国民に小切手を直接送る施策を検討している」と述べ、現金給付を盛り込む考えを明らかにした。ボーイングなど米航空関連企業への支援策などと合わせ、17日中に詳細を固めたい考えだ。
出典:米、新型コロナで1兆ドルの経済対策 現金給付盛る | 日本経済新聞(2020年3月18日)
18日以降、ゴールドが金鉱株に先駆けて急速に価格を回復していることを考えると、現金給付の話題に反応した可能性はあると思います。
一方、金鉱株はゴールドにやや遅れたものの、そのボラティリティの大きさから急速に値を戻していきます。米国株式(SPY)よりも先に下落をすべて取り戻したのは金鉱株ならでは、ですね。
ちなみに3月23日には、FRBが無制限の量的緩和を行うことを発表しています。このあたりで金鉱株に意識が向いていれば、かなりの値幅を取れたでしょうね。
ゴールドマン・サックスは、金を買う時が来たと言っています。
出典:Goldman Sachs says it is time to buy gold — the ‘currency of last resort’ | MarketWatch(2020年3月24日)
といった事柄をまとめると以下のようになります。
★コロナショック時の金鉱株と米国株の動向
- ゴールドの価格が崩れると金鉱株の株価も大きく下がる。米国株全体よりも下落率は高い
- ゴールドは米国株式や金鉱株に先駆けて下落が止まる。米国民への現金給付に反応したか
大きな下落があった際、政府の政策に加えてゴールドの価格推移も見ておくと、株式の底のタイミングを判断できるかもしれませんね。