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現代の金鉱株「都市鉱山」銘柄への投資を考える

4. 都市鉱山

※最初に述べておくと、この話にはオチも結論もありません。

先日、南アフリカの金鉱・プラチナ鉱山株「シバニェ・スティルウォーター」のことを調べた際に、貴金属のリサイクルについて少し関心を持ったので、日本の金鉱株である「都市鉱山」のことも調べてみようと思った次第です。

都市鉱山(としこうざん、英語: urban mining, e-waste)とは、都市でゴミとして大量に廃棄される家電製品などの中に存在する有用な資源(レアメタルなど)を鉱山に見立てたものである。

出典:都市鉱山 | wikipedia

一説には、日本の都市鉱山には世界の資源埋蔵量の数%~20%超が散らばっているとされています(下図)。

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/63/10/63_606/_pdf

ゴールドの採掘量が今後減少すると見込まれているように、世界の資源埋蔵量には限界があります。その場合に、希少資源をリサイクルする業種のほうが、長期にわたってゆるゆると利益を生み出してくれるかもしれないとちょっと思ったのです。

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都市鉱山の将来性と課題

将来の可能性

都市鉱山が今後ますます重要視される可能性としては、特に中国とインドにおけるゴールドやプラチナを含む各種金属の利用量が増加する可能性が挙げられます。

以下は、2007年の論文「2050年の金属使用量予測」より、コバルト(Co)とゴールド(Au)の将来の需要予測を行ったものを引用したものです。13年前とやや古い論文ではあるものの、基本的には「将来人口が増えるほど、様々な資源の要求量が増える」というのは想像にたやすいと思います。

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jinstmet/71/10/71_10_831/_pd

2050年には現在の物質消費規模の5倍にも達する.これらは現有の資源埋蔵量のみでは到底まかなうことはできず,さらには埋蔵量ベースを上回る物質消費が予想される金属もあり,資源の見直しや,資源獲得・循環利用のための飛躍的な技術革新が求められる.

このような状況下では、各種金属資源のリサイクルは今以上に需要が高まっているはずです。加えて、資源価格も上がるでしょうから、たとえリサイクルコストが高くとも収益が生み出せる可能性はあると感じます。

ちなみに、貴金属をよく利用する製品の1つが電気自動車・水素自動車です。以下はウィートンプレシャスメタルズ(金鉱株に資金を提供するストリーミング&ロイヤリティ企業)の資料から引用したコバルトの需要予測で、2020年以降はEV(電気自動車)での需要が急増しています。

出典:https://s21.q4cdn.com/266470217/files/doc_presentations/2020/06/20-06-02-June-Corporate-Presentation.pdf

解決すべき課題

2012年に掲載された論文「都市鉱山の可能性と課題」では、以下の4つの課題があるとされていました。

★都市鉱山の課題

  • 分散の壁:リサイクル対象の家電等があちこちに分散していて収集に手間がかかる
  • 廃棄物の壁:有用資源に対して、捨てるものが多すぎる
  • コストの壁:回収される資源の価値に対して、回収費用が高すぎる
  • 時代の壁:リサイクル対象の製品は、リサイクルを前提とした作りになっていない

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/63/10/63_606/_pdf

2020年現在ではゴールドやシルバーなどの貴金属を含むリサイクルについては、すでに収益化が行われており、コストの壁はクリアしつつあるようです。

ただ、技術革新が進んだ結果、製品の省貴金属化が進んだために、リサイクル製品から回収される貴金属の量が減っているとの報告もあります。以下は松田産業(7456)が回収したあるプリント基板から回収されたゴールドの量の推移で、大局的には減少する傾向にあります。

出典:https://www.jim.or.jp/journal/j/pdf3/81/04/152.pdf

例えば、燃料電池自動車が高価な背景には「利用されている貴金属が高価」であることも影響しています。メーカー各社がより省資源化を図ることで、都市鉱山からの採掘量が減ってしまい、収益性が悪くなる可能性はありそうです。

「外部要因に影響される」という意味では、まだ金鉱株のほうが収益性の見込みは立てやすい気がしますね。

主な「都市鉱山」銘柄

★日本の主な都市鉱山銘柄

  • JX金属
  • DOWAホールディングス
  • 住友金属鉱山
  • 三菱マテリアル
  • 松田産業

その他は都市鉱山関連が株式テーマの銘柄一覧 | kabutan

★国外の主な都市鉱山関連企業

  • Umicore(ユーロネクスト・ブリュッセル)
  • PX Group(非上場)
  • Materion(ニューヨーク)
  • Sims Recycling Solutions(非上場)
  • Johnson Matthey(ロンドン)
  • Abington Reldan Metals(非上場)
  • Heraeus(非上場)
  • Sino-Platinum Metals(上海)

出典:Precious Metal Recycling Market Size 2020 includes Revenue Market Share Forecast by Types, Applications, Manufactures and Regions | Market watch