南アフリカの金鉱株の財務面と、2020年3月20日以降の株価推移について比較してみました。
★比較した南アフリカの銘柄
- アングロゴールドアシャンティ(AU)
- ゴールドフィールズ(GFI)
- ハーモニーゴールドマイニング(HMY)
- シバニェ・スティルウォーター(SBSW)※
※白金族(PGM)の生産のほうが多い
主な指標と株価推移の関係
企業 | 営業利益率 | AISC |
---|---|---|
アングロゴールド (AU) | 17.15 | 1050 (2020Q1) |
ゴールドフィールズ (GFI) | 25.17 | 940 (2020予測) |
ハーモニー (HMY) | -6.27 | 1207 (2019) |
シバニェ (SBSW) | 10.0 | 1108 (2020Q1) |
企業 | DEレシオ (Debt to Equity) | 現金負債比率 (Cash to Debt) |
---|---|---|
アングロゴールド (AU) | 0.84 | 0.21 |
ゴールドフィールズ (GFI) | 0.79 | 0.24 |
ハーモニー (HMY) | 0.23 | 0.23 |
シバニェ (SBSW) | 0.78 | 0.23 |
この期間、どの銘柄もGDX(ヴァンエック・ベクトル金鉱株etf)を超えるパフォーマンスを発揮しました。特にハーモニーゴールドの値上がりが大きく、株価は3月からの4か月間で3倍になっています。
最も株価が上昇したハーモニーゴールドは営業利益率がマイナスで、AISCも4社の中で最も高いなど、業績的にはさえない企業です。一方、4社の中では業績が良いゴールドフィールズは2020年6月以降の株価上昇が弱く、他の銘柄に劣っています。
以下は各銘柄の下落率だけ取り出したもの。
個別株はやや値動きが大きめで、期間中どの銘柄も-15~-25%程度の下落を経験しました。比較的値動きが大きいのはハーモニーゴールドとシバニェ・スティルウォーターでした。
相関係数
以下は各銘柄とゴールドETF(GLD)、プラチナETF(PPLT)、シルバーETF(SLV)の相関係数を求めたものです(60日ローリング)。これによると、シバニェ・スティルウォーターがわずかにゴールドとの相関が弱い以外は大きな違いは見られませんでした。
企業 | GLD | PPLT | SLV |
---|---|---|---|
アングロゴールド (AU) | 0.59 | 0.45 | 0.53 |
ゴールドフィールズ (GFI) | 0.59 | 0.43 | 0.52 |
ハーモニー (HMY) | 0.58 | 0.42 | 0.51 |
シバニェ (SBSW) | 0.51 | 0.47 | 0.47 |
金鉱株ETF (GDX) | 0.75 | 0.54 | 0.68 |
業績の悪い企業ほど株価が上がりやすい
これまでの比較を見ると、ゴールドの価格が上昇したときには業績の悪い企業ほど株価が上がりやすいのかもしれませんね。
例えば、AISCが1500ドルのA企業と1000ドルのB企業があったとき、ゴールドの価格が1600ドルから1700ドルに変わることで、利益が大きく変わる企業はAです。一方、Bは1.17倍しか変わらず、業績の影響は小さめです。
今回の条件では、AISCの高いハーモニーゴールドマイニングは、ゴールドの価格上昇で利益上昇の倍率が高めです。一方、ゴールドフィールズはAISCが低いため、利益上昇の倍率は低めです。他の2社はその中間的なAISCでした。
長期投資はともかくとして、ゴールドの価格変動から最大限に恩恵を受けるなら、敢えてハーモニーゴールドのような企業を選ぶのがよさそうです。