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「アイアムゴールド(IMG.TO/IAG)」について調べてみた

アイアムゴールドのポートフォリオ2. 個別株銘柄分析

カナダの金鉱株「アイアムゴールド(TSX:IMG.TO、NYSE:IAG)」について調べてみました。同社は南北アメリカとアフリカに金鉱山を有しています。日本の住友金属鉱山(5713)も同社のプロジェクトの1つに出資しています。

IAMGold(公式サイト)

2020年6月現在、アイアムゴールドの株価は最近のゴールド価格の上昇に乗り切れていません。原因は同社のAISC(採掘コスト)が高く、最近のゴールド価格であっても営業利益が赤字になっている点が挙げられます。

一方、アイアムゴールドは複数の未開発の鉱区の権益を持っていることから、今後も長らく売り上げを立てられそうな見込みもあります。破綻リスクはありますが、10年後ぐらいには現在の低迷を脱しているかもしれません。

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売り上げなどの推移

最初にアイアムゴールドの売り上げの推移などをチェックしましょう。

出典:Gurufocus

アイアムゴールドの売り上げは、採掘量が最大となった2011年にピークを迎えました。その後はゴールドの価格低迷もあって、パッとしない業績が続いています。

同社は採掘のためのコスト(AISC)が高いようです。以下は2020年のコロナウイルスを考慮した、アイアムゴールドのガイダンスで、AISCは1195~1245ドルと見積もられています。一般的なカナダの金鉱株のAISCは1000ドル以下の企業が多いので、これは高い水準です。

アイアムゴールドの2020年のAISC

出典:https://s2.q4cdn.com/610165863/files/doc_presentations/2020/05/IAMGOLD_Presentation-BofA-Conference-May-12-14-FINAL.PDF

AISCが高いため、ゴールドの収益から採掘コストを除くとほとんど利益が残りません。そこにさらに探鉱費用などの研究開発費が乗ってるので、営業利益が赤字になっています。

資料を見る限りは、保有する多くの鉱山でゴールドの品位が低くなっています。Westwoodと呼ばれる鉱山を除くと、予想されるゴールドの品位は1トンあたり1グラム未満で、財務的に優秀なカークランドレイクゴールドの2020年Q1(2.6g/t)の半分以下です。

品位の低いところで頑張ると、AISCが高くなってしまい、利益がなくなってしまいますね。

株価推移

アイアムゴールドの株価推移

出典:Atom Finance

アイアムゴールドの株価はゴールドの価格が大きく上昇した2010~2011年頃にピークとなり、その後は長らく低迷が続いています。2020年のゴールド価格の上昇にはほとんど追従していませんが、上述の通りにコストの高さ故に利益が出ていないのが原因です。加えて、ゴールドの生産量も伸び悩んでいるのも原因です。

利益を出すためには、コストを下げるかゴールド価格が上がるかのどちらか(または両方)ですので、2020年のゴールド価格の上昇は同社の株価を引き上げるかもしれませんね。

将来性など

アイアムゴールドは自社のプレゼンテーション資料で、同社が保有する金鉱山の推定埋蔵量が、他社のトレンドとは異なり、増えていることをアピールしています

アイアムゴールドの推定埋蔵量の推移

出典:https://s2.q4cdn.com/610165863/files/doc_presentations/2020/05/IAMGOLD_Presentation-BofA-Conference-May-12-14-FINAL.PDF

アイアムゴールドが保有する鉱区の推定埋蔵量は他の大企業には敵わないものの、中堅どころと同程度の量を有しています。加えて、アイアムゴールドは他社(または他社の鉱区)を積極的に買収する傾向にあり、2020年6月にも加モナーク社が保有するケベック州の鉱区の権益を買っています。

また、住友金属鉱山が出資するカナダのコテゴールドプロジェクトは鉱山寿命が21年、この21年間の平均AISCは686ドルになると推定されており、採掘が始まれば、同社の利益に貢献する可能性があります。

現状では採掘コストの問題はあれど、長く存続しうる金鉱株の一社にはなるかもしれません。

なお、Gurufocusのデータによれば、アイアムゴールドの現在の株価はかなり割安な部類な一方で、破綻リスクも高くなっています。この銘柄への投資はばくち要素が少し高めですね。