リーマンショック時の金鉱株のパフォーマンスを調べてみました。
以下の記事で触れたように、金鉱株はボラティリティの大きさがメリットでもあり、デメリットでもあります。そこで今回は具体的な相場を例に、もう少しそのデメリット部分を解釈してみようと思ったわけです。
というわけで、リーマンショック時の金鉱株(GDX)、米国株式(SPY)、ゴールド(GLD)の下落率を比較したものが以下のグラフです。
リーマンショック時、より大きな下落を記録したのは金鉱株でした。リーマンショック前の最高値からの下落率は最大70%に達し、米国株の下落率を上回ります。
金鉱株の株価下落のピークは米国株式よりも少し早めに来ました。これはFRBが2008年11月に量的緩和(QE)の導入を行ったためです。
リーマンショック時の場合、金鉱株が最も下落したのは2008年10月でした。2008年10月はゴールドの価格がもっとも下落したタイミングです。一方、米国株がもっとも下落したのは2009年3月で、この時金鉱株は既に株価の上昇が始まっています。
ゴールドが先に反転したことで、金鉱株はしばらくの間、米国株式よりも高い上昇率を記録しています。
ちなみに小型株はより大きな下落と上昇を経験するかもしれません。以下はGDXと、キンロスゴールド(KGC)・ヤマナゴールド(AUY)の株価を比較したものです。どちらの銘柄もGDXJ(中小型株)に含まれる銘柄です。
出典:yahoo finance
両銘柄とも下落のピークはGDXと同じタイミングです。一方、いずれの銘柄とも高値からの下落が激しい点と、キンロスゴールドが下落後に高い回復を見せている点が特徴的です。相場の底で、より投機的に投資するなら小型株をメインにしたほうが良いかもしれませんね。
といった事柄をまとめると以下のようになります。
★リーマンショック時の金鉱株と米国株の動向
- 金鉱株の株価は、ゴールドの価格が維持されているうちは下落しにくい
- ゴールドの価格が崩れると金鉱株の株価も大きく下がる。米国株全体よりも下落率は高い
- 米国株の下落のピークが来る前に、金鉱株とゴールドの相場は反転し、その後しばらくは米国株以上のパフォーマンスを出す
- 小型株はよりボラティリティが大きくなる可能性
「暴落相場において、政府や中央銀行の政策によって、ゴールドと金鉱株指数が先に反転する」ことは今後も経験則として利用できるかもしれませんね。